インターネット加湿器

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破壊の精霊ってすごいね

今日は昼ご飯にインスタントラーメンを食べることにしました。水を入れた小鍋をIHコンロに乗せてスイッチを押します。ごぽごぽと水が沸騰してきた辺りで乾麺を入れます。湯気が上がって台所中がしっとりしてしまうなと思い、換気扇をつけようとスイッチに手を伸ばしたところで「待たれい」という声がどこからともなく聞こえてきました。

顔を上げると湯気が人をかたどっていました。湯気が口を開きます。

「余を呼び出したのは汝か?」
「違います」
「そこでボケるでない。ここには汝しかいないではないか、そんな何のヒネりもないボケは仲間内のノリの外では通用せんぞ」

クソだりー湯気です。こんなやつなおさら呼び出すわけがありません。呼び出したのが自分ではない事を丁寧に説明します。

「なんとっ、しかし余はたしかにこの地に呼び出された。いったいどうしたことか・・・・・・」
「そうは言っても、ラーメン作ってるだけですし」
「ふむ、余は破壊を司る精。何かが高速で衝突する音が子守歌で何かが軋んではじける音が心地よい目覚ましとなる者のもとに現れ、そのものが潜在的に抱いている望みを叶える」

精霊の話を聞きながら私の顔はどんどん青ざめていきます。めちゃくちゃに心当たりがあるからです。この土日は陸橋にトラックがぶつかる動画とプレス機でファービーが潰される動画ばっかりを見て過ごしたからです。明らかに破壊の精を呼び出す条件に当てはまっています。このままでは私が無意識に抱いている願いが叶えられてしまいます。良い願いであってくれ!

「まあ、汝が余を呼び出した者かどうかは正直そんなに関係ない。余を呼び出した段階で、余を呼び出した者の願いは叶っている。世界がどう変わったか楽しみだな」

そう言い残すと破壊の精はかき消えました。

(全国のドナルドマクドナルド像が殺人ピエロとなって人を襲いまくるとかは止めてくれ、セブンの揚げ鶏の大きさが4倍になるとかの願いが叶っていてくれ)と思いながら変化を確認するために外に出ます。

特に変化は見つかりません。悲鳴も歓声も聞こえてきません、一体どんな願いが叶ったのか。とはいえ、どこに起こるかもわからない変化を見つけるのなんて現実的ではありません。今すぐ探すのは諦めて、たまたま見つけるのを待とうかと思ったとき、胴体が3mはあろうかというダックスフンドが飼い主に連れられて動物病院へ入っていくのが見えました。どうやら私は心の奥底でダックスフンドの胴体がもっと長くなって欲しいと思っていたようです。