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リステリンの導き

今日は使っていた歯磨きが切れてしまったので買いに行きました。

雨の中最寄りの薬局につくと普段使っている歯磨きのところだけ棚がぽっかり空いていました。どうやら売り切れてしまったようです。もしかしたら裏にはまだ在庫があるかも知れないと思い店員さんに声をかけました。

「すみません、リステリンの白って在庫ありますか?」
リステリンの白ですね、大きい方と小さい方どちらをお探しですか?」
「大きい方で」

そう答えると店員さんは営業スマイルをふっと取り下げ、「ではこちらへ」と言って店の奥へと歩いて行きます。

慌てて追いかけると店員さんは私のことは意に介せず、無言で店のバックヤードへ入っていきます。ここで待っていろということかと思い立ち止まると、店員さんはこちらを振り返って手招きをします。なんか変だなと思いつつも後をついて行くとほの暗い蛍光灯の光を浴びて鈍く光る大きな扉の前に着きました。どうやらエレベーターのようです。促されるままエレベーターの中に入ると、店員さんは下とだけ書かれたボタンを押して扉を閉めました。するとエレベーターは下へ向かい始めます。全くといっていいほど音はせず、かすかに感んじる扉からの隙間風だけが、エレベーターの高速移動を物語ります。

普段の生活では考えられないほど長い間、エレベーターは降り続けます。無言というのも何だとは思いましたが、店員さんはさっきまでの人当たりのよさがどこへ行ってしまったのか、達人のような空気を纏っており話しかけるのをためらってしまいました。無音の箱は地下へと向かいます。

長い長い沈黙の後、エレベーターは減速を始め、目的地に着きました。扉が開くと何百人もの人が大きな空間に集まっています。

ここでやっと店員さんがその重たい口を開きました。

「着いたぞ、ここが第302期ハンター試験の会場だ」

どうやら私の「リステリンの白、大きい方で」という回答はハンター試験会場に案内してもらうための合い言葉だったようです。日常的に使う言葉を合い言葉に設定すな!

明日は二次試験なので今日はここまでにして早めに寝ます。